2024年最新!BIM加速化事業の補助金や対象ソフトを詳しく解説

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CAD 図面

建設業界のDXを推進するため、国土交通省は建築BIMの普及に力を入れています。中でも注目されているのが、2022年度の補正予算で創設された「建築BIM加速化事業」です。BIMソフトや講習費用など、BIM導入に関する様々な費用を補助するこの事業は、建設関連企業にとって追い風となるでしょう。そこで本記事では、建築BIM加速化事業の概要や補助対象、申請方法などについて詳しく解説します。BIM導入を検討中の方は是非参考にしてみてください。

BIMの補助金とは?

BIM(Building Information Modeling)の導入を支援し、建築分野のDXを加速するため、国土交通省は「建築BIM加速化事業」という補助金制度を設けています。この事業について、補助内容や対象となる要件、補助対象ソフトなどを詳しく解説していきましょう。

BIM加速化事業の補助金とは

建築BIM加速化事業は、民間事業者等が一定の要件を満たす建築物を整備する新築プロジェクトにおいて、建築BIMデータの作成等を行う場合に、BIMモデル作成費用等を国が補助する事業です。補助対象は、令和5年度末までの基本設計・実施設計・施工のBIMモデル作成費用や、設計・施工BIMモデル作成等に要する費用で、元請事業者だけでなく下請の協力事業者も対象となります。

BIM補助金の対象となる補助要件

この補助金の対象となるには、プロジェクトが以下のような要件を満たす必要があります。

● 敷地面積1,000m2以上、延床面積1,000m2以上、地上3階建て以上
● 耐火建築物または準耐火建築物
● 省エネ基準適合
● 一定の公共的空間を有する
● 土砂災害特別警戒区域外 など

また、代表事業者と協力事業者が建築BIM活用事業者宣言を行うこと、IFCデータを作成することなども補助の条件となっています。

建築BIM加速化事業の対象ソフト

この補助事業の対象となる主なBIMソフトには、以下のようなものがあります。

● 意匠系:Revit、Archicad、Vectorworks Architect、Solibri Model Checker など
● 構造系:Super Build/SS7、SEIN La CREA Premium など
● 設備系:Rebro、T-Fas、FlowDesigner など
● 施工系:StreamBIM、Chex、Tekla Structures など

なお、対象ソフトの詳細リストは国土交通省のサイトで公開されています。

対象となるBIMモデル作成費は?

建築 設計図

建築BIM加速化事業では、BIM導入に必要なソフトウェアの利用費や人件費など、さまざまなBIMモデル作成費用が補助金の対象となります。ここでは、具体的にどのような経費が補助対象に含まれるのか詳しく見ていきましょう。

対象のBIMモデル作成費一覧

補助対象となるBIMモデル作成費は以下の通りです。

1.BIMライセンス等費
・BIMソフトウェアの利用費(ビューワーソフト、アドオンソフトの利用費、BIMモデル利用に必要なPC、タブレット、ARゴーグル等の周辺機器のリース費等を含む)
・CDE環境(共通クラウド)の構築費、アクセス費

2.BIMコーディネーター等費
・BIMコーディネーターの人件費、委託費
・BIMマネージャーの人件費、委託費
・BIM講習に要する委託費、人件費、諸経費

3.BIMモデラー費
・BIMマネージャーをサポートするBIMモデラーの委託費

このように、BIMソフトの利用に必要な費用から、BIM活用を推進する人材の人件費まで幅広く補助金の対象となります。

補助対象経費の注意点

補助対象経費については、以下の点に注意が必要です。

● 補助対象となるのは、代表事業者の登録後に契約・購入したもののみ
● 利用契約がプロジェクト終了までで、利用料が実績報告までに支払い済みの場合は全額が補助対象
利用料が2万円以上でプロジェクト終了後も利用可能な場合は、プロジェクト終了時の残存価値分を控除して補助金申請
● 人件費・委託費の補助対象はプロジェクトの完了実績報告までの費用のみ
● 個別の事業者がモデル作成作業を行う人件費は対象外

補助金を有効活用するためにも、これらの注意点をしっかりと確認しておくことが重要です。

BIMの欠点は何?

BIM/CIMの導入にはさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットや課題もあります。

● 導入コスト・ランニングコストが高い
BIM/CIMソフトの導入には数十万~数百万円がかかるうえに、ランニングコストも発生します。費用対効果を十分に確認しなければなりません。

● ハイスペックなPCが必要
ソフトを快適に使用するには高性能なPCが必要で、PCを買い換えなくてはいけない可能性もあります。

● 知識、技術習得に時間がかかる
BIM/CIMソフトの活用には専門的な知識、技術が必要です。社内に適任者がいない場合は、人材を新たに雇用する必要があり、コストがかかります。

BIM/CIMの導入には、コストや人材育成など、十分な検討と準備が欠かせません。メリットとデメリットを見極めたうえで、計画的に進めていくことが重要です。

BIM普及に向けて国土交通省が発表したロードマップ

建築設計 CAD

国土交通省は建設業界のDXを推進するため、2023年までに小規模工事を除く全ての公共事業に「BIM/CIM」を原則適用することを発表しました。これは以前の目標だった2025年までの適用を2年前倒しするもので、「BIM/CIMを業界に浸透させていく」という強い意志の表れだといえます。

具体的には、3次元モデルを活用した一定規模・難易度の事業に対し、以下のような活用目的を1つ以上めざすことが求められています。

● 視覚化による効果
● 省力化、省人化
● 情報収集等の容易化

また国土交通省は、「BIM/CIM活用工事における監督・検査マニュアル」や「発注者におけるBIM/CIM実施要領」の作成など、環境整備も着々と進めています。
このようにBIM/CIMの原則適用を2年前倒しし、各種マニュアルの整備などを進める国土交通省の動きからは、建設業界へのBIM/CIM普及を強力に推し進めていく姿勢がうかがえます。建設関連企業はこの流れを踏まえ、計画的なBIM/CIM導入を検討していく必要があるでしょう。

BIM講習の補助金は?

建築BIM加速化事業では、BIMに関する講習会の実施費用も補助対象となっています。具体的には、代表事業者が建築BIMを利用する習熟度向上のための講習会を従業員に提供する場合、以下の経費が補助対象となります。

● 講師謝金(講師の人件費を含む)
● 会場費
● テキスト印刷費
● 機器レンタル費 など

また、代表事業者が講習会の実施を外部に委託した場合は、その委託料も補助対象です。ただし、補助対象のプロジェクトで使用しないBIMソフトウェアの講習会に参加した場合の受講料は補助されません。参加者を公募している講習会に参加する場合は、代表事業者が承認した講習会の受講料のみが補助対象となります。

社内にBIMのノウハウがない企業でも、この補助金を活用することで、外部の専門家によるBIM講習を受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。

BIM講習の費用はいくら?

BIM講習の費用は、講習内容や期間によって様々です。ソフトウェアベンダーが提供する1~2日の基礎講習は、1人あたり5万円~10万円程度が相場です。
一方、BIMマネージャーなどの専門家を目指す本格的な講習になると、数十万円~100万円以上かかるケースもあります。
例えば、BIM推進協議会が認定するBIMマネージャー資格の取得講習では、以下のような費用がかかります。

● BIMマネージャー教育コース:168,000円(税抜)
● 認定試験:12,500円(税抜)

このように、レベルの高い講習になるほど費用は高額になる傾向にあります。
ただし、前述の通り、建築BIM加速化事業ではBIM講習の費用も補助対象となっています。補助金を活用することで、BIM講習にかかる費用負担を大幅に抑えることができるでしょう。

BIM導入の義務化はいつから?

国土交通省は、2023年度までに小規模を除く全ての公共工事でBIM/CIMを原則適用する方針を示しています。当初の目標は2025年度までの適用でしたが、建設業界の働き方改革を進めるために2年前倒しされました。背景には、建設業の生産性向上と働き方改革を同時に達成するために、BIM/CIMの活用が不可欠という判断があります。公共工事でのBIM/CIM原則適用は、民間工事へのBIM/CIM普及も大きく後押しするものと期待されています。

ただし、「適用」はあくまで努力目標であり、義務化というわけではありません。また小規模工事は対象外となっています。とはいえ、公共工事における動きは民間工事にも影響を与えるのは確実です。国交省は建築BIM加速化事業など、BIM/CIM普及のための支援策も打ち出しています。建設関連企業はこうした動向を注視し、計画的なBIM/CIM導入を進めていく必要があるでしょう。

まとめ

建設業界のDXを推進するため、国土交通省はBIM/CIMの普及に力を入れています。建築BIM加速化事業では、BIMソフト導入費用や講習費用などを幅広く補助し、建設関連企業のBIM導入を強力にサポートしています。BIM活用には課題もありますが、生産性向上と働き方改革の実現に欠かせないツールであることは間違いありません。補助金を活用しながら計画的なBIM導入を進めることで、建設業界の未来を切り拓くことができるでしょう。ぜひこの機会にBIMについて学び、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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